新入社員は新人研修を経て社会人としてスタートします。近年の新人は、世代や受けてきた教育、コロナ禍など、さまざまな要因の影響を受けているといわれています。そこで今回は、新入社員が新人研修をきついと感じる理由と世代としての特徴、それを踏まえてどのような点に配慮し研修を企画・実施したら良いのかについてお伝えします。
新人にとって新入社員研修がきついと感じる理由とは?
新人が新人研修をきついと感じる理由には、いくつかのものがあります。研修前から研修中、研修後と時間軸で分けて考えてみましょう。
研修前
新人研修は、研修前から始まっているといっても過言ではありません。就職や採用が決まるのは喜ばしいことであると同時に、慣れ親しんだ学生生活との決別を意味するからです。
■社会人となるプレッシャー
「自分は社会人としてやっていけるのか」というプレッシャーは、学生時代に誰しも感じたことがあるでしょう。アルバイトやインターン、ガクチカなど、働くことに触れてきてはいるものの、毎日の通勤や勤務、自分が仕事で役に立てるのかどうかといった不安や緊張感から、プレッシャーを感じるのは珍しいことではありません。
新人は皆、等しく未経験者です。最初から完璧に仕事ができる人などいませんので、学生が不安になったり、緊張を覚えたりするのは当然と受け止めましょう。「緊張しないで」ではなく「緊張している」という前提で接するようにするということです。
教えなくてもできてほしいとは考えず、過度な期待をかけないようにするのもポイントといえます。できるだけ早く戦力になってほしいという気持ちは痛いほど分かりますが、積極性や成長速度には個人差があることを理解し、ある程度の失敗を許容することが重要だといえるでしょう。
研修中
多くの企業では、入社式を終えるとすぐに新人研修が始まります。ビジネスマナーをはじめとして、業界や業態、企業、組織、仕事などの基本的な知識を頭に入れなければなりません。一度に多くのことをインプットしなければならないというプレッシャーがあるといえるでしょう。
■新しい知識やスキルを身につけることの大変さ
学校で学業を中心に学んできた学生にとって、実際に社会の一員として働くためには多くの知識を吸収していく必要があります。新人であれば、競合他社を含む市場の動きや自社のポジション、ビジネスの場における礼儀作法や仕事の進め方(報連相)など、覚えなければならないことでいっぱいです。
社会人として働いている期間が長くなってくると、このような初々しい、フレッシュな気持ちに触れる機会が少なくなってくるかもしれません。自分にとっては慣れ親しんだ世界でも、長い航海に漕ぎ出したばかりの新人にとっては、未知の世界ともいえます。
覚えて実践というトライアンドエラーを繰り返すことで、新人はひとつずつ覚えていくのだと心得ておくことが大切です。要領の良いタイプの新人もいれば、覚え方がゆっくりでも確実に覚えていくタイプの新人もいるでしょう。あまり早い段階でジャッジしないことも重要です。
研修後
研修を終えた後にも、新人が「きつい」と感じる場面があるとされています。その多くは、配属を終えて実際に働き始めてから直面することだといわれています。
■企業や組織の一員として働くという現実
不安や緊張を抱えながらも、新人は希望を持って働き始めます。そこに登場するのが、社内ルールや力関係、既存社員といった組織内にある現実的な壁です。研修で学んだことを活かそうと意気込んでいる新人にとっては、会社という組織の現実的な一面を見ることもあるでしょう。
会社にはいろいろな人が集まっていますので、尊敬する上司や憧れの先輩がいる一方で、理解に苦しむ社員もいないとは限りません。企業によっては、社内や部署間の交流、新人に求められる態度を含む企業文化が異なります。
関係者の理不尽な対応や理由や目的がよくわからずに対応する仕事、自分のミスではないのに謝らなければならない局面など、社会人だからこその厳しさを味わうこともあるでしょう。新人研修では、そのような現実もあるということに触れておくといいのかもしれません。
不安や緊張感の高まりが起こすトラブル
不安や緊張が高まり過ぎてしまうと、体調不良やコミュニケーション上のトラブル、仕事に対するモチベーション維持が難しくなるなどのトラブルが発生する可能性があります。せっかく採用した新人があっという間に早期退職となるのが、もっとも避けたいシナリオといえるでしょう。それを避けるためには、新人を理解しなければなりません。
知っておきたい世代のこと
昨今の新人がどのような環境で生まれ育ち、どのような特徴を持っているのかについて知っておきましょう。Z世代という言葉を見聞きしたことのある方は多いと思われます。1990年代半ばから2010年代初期に生まれた世代のことです。
2024年時点で12~30歳くらいの年齢層に当たります。明確な定義はないとされていますが、大きな特徴といえることがいくつかあります。
- デジタルネイティブ(スマホネイティブ)
- ゆとり教育世代
- 上の世代との価値観の違い
■デジタルネイティブ(スマホネイティブ)
以前にこちらの記事でも取り上げましたが、彼らはデジタルネイティブと呼ばれる世代です。生まれたときからインターネットがあり、両親がスマートフォン(以下、スマホ)を使っていて、幼少の頃からスマホやパソコンなどのデジタルデバイスに加えてSNSなどに親しんできたのだといえます。スマホの使いこなし方やSNSを含むオンラインでのコミュニケーションは、得意だといえるでしょう。
■ゆとり教育世代
また、ゆとり教育を受けてきたのが、1987年4月2日~2004年4月1日までの間に生まれた人々です。2024年に20歳を迎える人々が、ゆとり教育の最後の年だということもインプットしておきましょう。1995年生まれの人までが、小学校から高校までゆとり教育だった、いわゆる「フルゆとり世代」に当たります。
■上の世代との価値観の違い
新人の価値観が大きく変わってきていることは、改めてお伝えするまでもないのかもしれません。仕事よりもプライベートを重視する傾向が強いことや、個性・多様性を大切にすること、コスパよりもタイパ(タイムパフォーマンス)を優先する、やりたいことには金銭の消費や労力を注ぐのを惜しまないなどの特徴があるとされています。
同じZ世代でも、2024年時点で20代半ばまでに該当する人々は、学生時代にコロナ禍を経験しています。集まることが制限されたり、オンラインで授業を受けたり、小中学校では給食を黙食した世代です。修学旅行や卒業式、成人式などへの影響があったことも忘れてはいけないのではないでしょうか。
ここで、一旦、Z世代の特徴をまとめておきましょう。
Z世代の特徴
- 協調性が高い
- オンラインのコミュニケーションが得意
- プライベートを重視する傾向が強い
- 個性や多様性を尊重する
- コスパやタイパを重視する
- ブランドより本質的な価値が大事
- 求められる以上のことをせず自己完結しがち など
もちろん、Z世代の説明に新人全員が該当するわけではないでしょう。しかし、生まれ育ってきた時代背景や世代からくる特徴があるということを受け入れて、新人と接していく必要があるといえます。
このような特徴がある新人を脱落させることなく新人研修を完了させ、実際の業務へのスムーズな滑り出しを用意するために重要なのは、コミュニケーションなのではないかと弊社では考えています。
新人研修のきつさに対する徹底的なフォローアップ
例えば、習得に時間がかかるとされている「プログラミング講座」を取り上げて、具体的にどのような対策を講じているかお伝えしましょう。
基礎を重視した段階的かつ実践的なカリキュラム
プログラミング学習は、初学者の方にとっては基礎学習が何よりも重要です。プログラミング学習全体を効果的に学ぶために、基礎にしっかり時間を費やして学習を進めていきます。カリキュラムは実践力が身につくよう構成されたもので、毎年内容をアップデートしています。
研修のゴールをチームでのプレゼンに設定
システムエンジニアにとって技術力はもちろんのこと、実際の現場では自ら調べ、チームで協議しながら課題を解決する力も大切です。講義では、答えを導き出す方法や調べ方などにも触れ、チームで話し合い解決するワークも数多く取り入れています。
最終的なゴールをチームによるプレゼンと設定し、個々人の基礎固めからプレゼンに至るまでのプロセスも学習内容のひとつと考えています。技術に加えてコミュニケーション力が高まることも大きな特徴です。毎年、プレゼンには、人事や配属部署の上司などの関係者が見学されます。
コミュニケーションとサポート密度の濃さ
Z世代は、対面でのコミュニケーションに課題があるともいわれます。(もちろん、そうでない人もいるでしょう)
弊社のプログラミング講座では、単元ごとの確認テストに加えて、講義冒頭に前日の振り返り、個別フォローなどもあり、きめ細やかなコミュニケーションを取るようにしていることが特徴です。研修に費やす時間で存分に学んでいただけるよう、場面ごとに講師がフォローに入ります。
受講者の声
ここで少し受講者の声をご紹介しましょう。プログラミング講座のものをピックアップしています。
- 「初心者にとって内容がどんなに難しくても、丁寧に説明してくださり一人一人優しく対応し教えて下さったことが良かったです。質問や復習にも親身になって対応してくださったりしたおかげで、あきらめずについていけることができたと思います」
学習のどこかでつまずくと先に進めなくなってしまいます。そのようなことがないよう何度でも質問していただき、理解できるまで丁寧に対応させていただきます。
- 「定期的にグループでの演習があったためグループ間で分からないことを話し合い、解決していくことでチームで仕事をしていく大切さも学べたと思います」
- 「グループで開発をしたところが一番の経験になったと思います。個人で開発するのでは起こらないような問題点をよく認識することができました」
- 「講座期間中に実施したプレゼンテーション発表によって、準備する大切さ、人に対して伝えるプレゼンテーション力が身についたと思います」
開発の現場では、チームでの仕事が欠かせません。個々の技術力だけではなく、チームならではの力や課題を認識していだくことも重要だと考えています。
- 「毎日、講義開始時に前日のふりかえりを実施していただき、しっかりと技術の定着を確認しながら進めることができました」
- 「『何度でも質問してください』とおっしゃっていたようにとても質問がしやすかったです」
理解し実践するという流れの中でスキルの定着を図っていきます。振り返りや質問を経て腹落ちしていただくのが、技術を身につけるためには不可欠です。
プログラミング講座 受講者の声
https://idigi.jp/programming/cs/
まとめ
新人研修のきつさとは、社会人という初めての経験を迎える新人にとっての不安や緊張感からくるプレッシャーが主な理由だといえるでしょう。
新たに会社に加わる新人にとっても、新人を迎え入れる人事や配属先にとっても、なるべくスムーズに実務に移行していけるようにするためには、新人研修が不可欠です。その新人研修を有意義なものとするためには、新人の特徴を踏まえて、会社から求められる知識やスキルをどのように身につけるかが重要だと考えます。
憚りながら、弊社の新人研修はクオリティが高いと自負しておりますが、期間は限られています。研修を経て、長い社会人生活を送るのは、それぞれの会社です。
新人のやることなすことを「どうしてこのように考えないのか」と捉えると苛立ちを覚えてしまいがちですが、シンプルに「従来とは異なるポテンシャルの持ち主」と受け止めるようにすると、新人の見え方が変わってくるのかもしれません。
カリキュラムや運営についてお困りでしたら、弊社に一度ご連絡ください。彼らの良いところを引き出し、戦力となってもらえるような研修を実施できるようサポートします。