リスキリングに不可欠な「デジタルマーケティング」スキルとその活用方法とは

リスキリングに不可欠な「デジタルマーケティング」スキルとその活用方法とは
2021年7月の記事でリスキリングについて触れました。その時には主にリスキリングの必要性や課題、国内外のリスキリング実施企業の事例についてお伝えしました。そこで今回は、リスキリングの実施率やリスキリングで習得させたいスキルに加えて、常に上位にランクインするデジタルマーケティングに注目し、具体的なスキルや身につけた場合の活用方法についてお伝えします。

この記事の内容

  • 確実に実施が進んでいるリスキリング
  • 身につけさせたいスキルの上位にある「デジタルマーケティング」
  • なぜデジタルマーケティングが不可欠なのか
  • デジタルマーケティングで学ぶスキルとは?
  • リスキリングで組織も個人も新たな一歩を

確実に実施が進んでいるリスキリング


2021年9月にユナイテッド株式会社が行った調査によると(n=120)、リスキリングに取り組んでいる会社は37.5%ともっとも割合が高く、今後取り組む予定とする会社26.7%と合計すると、64.2%の会社が実施または実施の方向で考えていることがわかりました。

そこから約4カ月、2022年1月に株式会社manebiが行った調査によると(n=500)、リスキリングを実施していると回答した会社は半数以上の52.6%へと上昇しています。今後実施する予定13.2%との合計は65.8%、実施する予定は減少に転じました。

アンケート対象や回答数に差があることを差し引いたとしても、この数カ月の間にリスキリング実施へと踏み切った会社が多かったと解釈してもいいのではないでしょうか。少なくとも、リスキリングに前向きな会社が多いとはいえると考えます。

リスキリングを実施する理由には、さまざまなものが挙げられていますが、回答は主に次のようなものに集約されるでしょう。

  • 社内のデジタル人材不足(ITや個人情報、在宅勤務など)
  • 今後の事業展開に必要なデジタル人材の育成
  • スキルのある人材が採用困難

①はITリテラシーともいえる、ITの基本的な部分といえます。PC操作などの基礎も含んでいます。③はスキルの高い人材確保の難しさに加えて、労働生産人口全体の減少もあり、リスキリングで解決できない問題です。

注目したいのは②の「デジタル人材不足、今後の事業展開に必要なデジタル人材の育成」といえます。今後の事業展開に必要な人材を育成するため、従業員に何を学習させようとしているのかを見てみましょう。

身につけさせたいスキルの上位にある「デジタルマーケティング」


前述した2つの調査のうち、ユナイテッド社の調査によると、リスキリングでの学習内容は「IT基礎」「データサイエンス」などの回答でした。今後取り組みたい内容として挙げられていたのは、DX関連やデータサイエンス、Webマーケティングです。

manebi社の調査では、リスキリングでの学習分野として実施割合が高かったのは、データ分析(40.12%)、情報セキュリティー(39.82%)、ITリテラシー(37.39%)、デジタルマーケティング(31.81%)、PC基礎(19.76%)でした。

2021年11月に転職サイト「ビズリーチ」が取引先や自社登録者に対して行った調査(n=245、n=970)でも、新たに身につけたいITスキルとして挙げられているのは、データ解析・分析(62.5%)、デジタルマーケティング(34.6%)、プロジェクトマネージメント(31.8%)です。

リスキリングで身につけさせたいスキルのひとつがデジタルマーケティングだといっても過言ではないでしょう。調査によって順位にバラつきこそあるものの、つねに上位に入っていることには変わりありません。

なぜデジタルマーケティングが不可欠なのか


ここで一旦、デジタルマーケティングとは何かという基本に戻り、その必要性や重要性について改めて見直してみましょう。

デジタルマーケティングとは?


デジタルマーケティングとは、デジタル技術を活用したマーケティング手法全般のことです。オンライン上のあらゆるチャネルやタッチポイントから得られるデータを活用します。具体的には、PCはもちろんのこと、スマートフォンやタブレットのアプリ、GPSによる移動履歴、IoT製品の利用履歴などのビッグデータ、AIなどです。

Webマーケティングとの違い


Webマーケティングで取り扱うのは、ウェブサイトを中心とするウェブ広告やSNS、SEO、メールなどです。デジタルマーケティングとの主な違いは、取り扱うデータ領域がウェブサイト周辺だということです。つまり、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部だといえます。

従来型マーケティングとの違い


ここで従来型と呼ぶのは、テレビやラジオのCM、新聞や雑誌の広告、テレアポ、DMなどを利用するマーケティングのことです。集団(「Mass」マス)を対象とし、すべての見込み客に対して画一的なプロモーションをします。

この方法は、商品やサービスの大量生産、大量消費が前提です。幅広い顧客に受け入れられる必要があるため、商品やサービスによっては向き不向きがあるといえます。また、マスメディアの広告は一般的に費用が高めなので、すべての企業で実践できるとは限りません。

デジタルマーケティングのメリット


Webマーケティングを含むデジタルマーケティングの最大のメリットは、個々人に応じたプロモーションができることだといえます。インターネット上でのユーザーの行動が記録に残るようになりましたので、その行動記録を解析すれば、その人が何を求めているかを推測することができます。

その推測に基づいて、興味関心の高そうなものを提示し購入につなげるという、この一連のプロセスそのものがデジタルマーケティングです。従来型のマスマーケティングとは異なり、価値観が多様化している今こそ活用されるべき方法といえるでしょう。

総務省の「令和2(2020)年版 情報通信白書」によると、スマートフォンの保有率は83.4%と、個人に直接アプローチできるデバイスはかなり普及しています。

同じく総務省の「令和3(2021)年 版情報通信白書」によると、60代以上では、インターネット利用率が高いものの、テレビの利用率も上昇するからです。70代以上になるとテレビの利用率はさらに上がります。商品やサービスが高齢者向けという場合には、デジタルより従来型のほうがいいケースがあるといえるでしょう。

それでもなお、経済産業省の「令和2(2020)年度 電子商取引に関する市場調査」によると、国内EC市場はBtoCで19.3兆円(前年比0.43%減)、BtoBで334.9兆円(前年比5.1%減)と、前年とほぼ同じ水準を維持しています。BtoBの減少は旅行などのサービスが主な要因で、外出自粛に伴うものだとしています。

サービス分野の減少分を補っている物販の伸びは、注目すべきです。デジタルマーケティングを学び、活用することによって、この勢いに乗じることが可能になります。

自社商品やサービスのターゲットに合わせて、デジタルマーケティングと従来型とを使い分けることができるようになることが、デジタルマーケティングを学ぶもうひとつの大きなメリットです。どのターゲットにどのようなアプローチをするのがいいかという総合的な判断ができるようになります。

デジタルマーケティングで学ぶスキルとは?


デジタルマーケティングでは、インターネットを支える技術やウェブの基礎知識、インターネットを使ったビジネスの仕組みという基本から、ウェブ広告やウェブ集客、ウェブ解析、SNS活用などについて学んでいきます。

学習の進捗や必要に応じて、Googleが提供している便利なツール群やSEO、UX(ユーザーエクスペリエンス)を習得し、スキルアップすることも可能です。モバイルアプリの制作など、プログラミングを学ぶというルートもあります。

冒頭のアンケートの話に戻りますが、必要であるにもかかわらず不足しているのは「基本的なITリテラシー」と「今後の事業展開に必要なデジタル人材」です。基礎を習得した上でデジタルマーケティングにという流れも感じられます。

長年の実績によって培われた3K(経験や勘、根性または気合いとも)を軽視するつもりは毛頭ありませんが、これからの時代はデータを根拠に議論や提案、改善ができるようになることも重要ではないでしょうか。

リスキリングで組織も個人も新たな一歩を


リスキリングは時代の流れからくる必要に迫られた対応でもありますが、既存人材のまだ見ぬ一面を引き出し、新たな価値を創造する人材を育成する方法でもあります。リスキリングを行うメリットを見てみましょう。

リスキリングのメリット


  • 生産性向上、業務効率化
  • モチベーションの維持、向上
  • 採用コストの低減

生産性向上や業務効率化が挙げられます。オンライン化の波が社会を変えつつあることは、改めて申し上げる必要はないかもしれません。例えばオンライン会議や在宅勤務などは、コロナ禍の密を避けるという一面がある一方で、子育てや看護、介護、遠距離通勤、出張などの負担を軽減するものとして注目されています。

まずは、リモートで働くときに必要なスキルやセキュリティに関するITの基本的な知識やスキルを習得させる必要がありますが、これが定着すれば、さまざま理由によって働く時間が限られていた人材によりいっそう活躍する機会を与えることができます。

そうなってくると、オンラインを活用する人材はモチベーションが上がるでしょう。オフライン(出勤)とオンラインとの差が縮まっていけば、オフラインを好む人材にとっても、オンラインを活用する人材の活躍が刺激となるはずです。

リスキリングを実施できない理由


ここで一旦、冒頭のアンケートに戻り、リスキリングを実施できない理由について触れておきたいと思います。manebi社のアンケートには、次のような回答がありました。

  • 時間の確保が現状難しい
  • リソースと予算がない

時間がないというのは、よくお聞きすることです。業務に忙しいということなのでしょう。少々厳しいことを申し上げるかもしれませんが、時間を作ってでもリスキリングをしなければ、競合他社だけでなく時代の流れから取り残されてしまうかもしれません。

リソースが具体的に何を示すのか、調査では示されていませんでしたが、おそらくは研修担当者なのではないかと推測します。弊社では、対面でお打ち合わせを進めることも、すべてオンライン(ぜんぶオンライン)で進めることも可能です。

予算については、助成金の活用をおすすめします。申請の代行こそ対象外ですが、書類作成のサポートについては丁寧にさせていただいているという自負があります。

もし、アンケートと同様の理由でリスキリングに踏み切れないという場合には、お問い合わせいただければ幸いです。

まとめ


今回ご紹介したものに限らず、さまざまな調査によって、リスキリングが確実に広まっていることがわかります。リスキリングに限らず、新たなことに挑戦する際には、常にメリットとデメリットとが混在するのではないでしょうか。もっとも避けるべきは何事にも挑戦しないことだと考えます。

前回のリスキリングの記事でも述べましたが、リスキリングは従業員の評価の低下や失業への不安について、会社としてどのように考えているか示すことを意味します。それと同時に会社がこれから必要とする人材を明確に定義することでもあります。

リスキリングで習得させたいスキルの上位やデジタルマーケティグの必要性、重要性についてはお伝えしたとおりです。しかし、個々の企業によって、リスキリングで習得を必要とするスキルは異なります。自社にとって何が重要かを整理しておくことが大切です。

経産省が公開している資料では、リスキリングによって「デジタル技術の力を使いながら価値を創造できるように多くの従業員の能力やスキルが再開発される」としています。会社としてやらなければならないことは多々ありますが、さらに進化するであろうデジタル時代を見据え、このタイミングでご英断されることを願います。

この記事を書いた人

吉野竜司|Ryuzi Yoshino株式会社アイクラウド 代表取締役CEO

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